章 504

途中で、泱泱がこっそり手を伸ばして私の左手を握ってきた。王雅に気づかれるのが怖くて動けずにいると、泱泱はさらに手のひらを開いて私の指と絡ませ、親指で私の手のひらをなぞり始めた。

仕方なく首を動かすふりをして彼女の方をちらりと見て、目線で牽制しようとしたのだが、彼女はかえって可愛らしく顔をしかめて、手をより一層強く握ってきた。

歌い終わると王雅は用事があるからと先に帰り、泱泱に夜の交代を忘れないようにと念を押した。

泱泱は私を近くの茶館に連れて行き、少し話があると言った。

席に着くと、泱泱は神秘的な表情で言った。「知ってる?実は王雅お姉さんも、あなたのこと結構気に入ってるのよ」

「え、...

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