章 931

秦大社長はそう言いながら隣の通路を指差し、私はそちらへと歩き始めた。恥ずかしさを感じながらその方向へ進んでいると、警備員らしき男が秦大社長に何か報告しようとしたが、秦大社長は手を振って遮った。

「大丈夫だ、彼女は脅威ではない。しっかり見張っておくだけでいい。大事な計画を台無しにするなよ!」

私がその廊下の突き当たりを曲がろうとした時、振り返って一瞬だけ様子を見た。さっきの部屋から美女が一人出てくるのが見えた。どこかで見覚えがある顔だったが、思い出す間もなく、その魅力的な女性は別の個室へと消えていった。

突然思い出した。あの美女は昼食時に、後ろのカーテン越しに立っていた四、五人の美女の一人...

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