章 287

「そうですね、五年くらいになりますかね……」と小梅は少し考えてから言った。

道中ずっと笑顔で彼女と会話を続けていたが、杜家のことについて具体的には尋ねなかった。焦りは禁物だし、草むらを叩いて蛇を驚かせるようなことになりかねない。もし小梅が杜家の人間に「あの写真家は下心がある」などと密告でもしたら面倒なことになる。

後で機会があれば改めて小梅に尋ねようと思っていると、しばらくして小梅は私を一室へと案内した。

部屋に入ると、見覚えのある二人の姿があった。一人は自分を杜家へ連れてきた杜月清、もう一人は先ほど写真撮影の際に見かけた男性だ。この人物が小梅の口から出た「杜家の三爺」という杜天城なのだ...

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