章 199

朝。

九時になると、蘇娜が洗面所で身支度をする音が聞こえてきた。

時計を見ると、私も起きる時間だ。

しばらくすると、蘇娜が洗面所から出てきた。相変わらず冷たい表情で、私を一瞥もせずにベッドの端に座り、メイクを始めた。

まったく。

俺が悪いってことか。

昨夜は誰が蚊のような声で人をそわそわさせたのか、覚えてないのか。

私も身支度を済ませた。

二人でフロントの女性の得意げな微笑みを受けながらチェックアウトした。

「先に帰るわ。今日、林震東が先に電話してくるかどうかなんて、全く興味ないから」

蘇娜は冷ややかに笑うと、タクシーに乗り込んで颯爽と去っていった。

どうやら昨夜は恥ずかしいところを見せてしま...

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