章 267

県城は小さく、一周するのにたった一時間で済む。ハルビン市で行き来するのに必ずと言っていいほど一、二時間かかるのとは比較にならない。そのため私たちはすぐに母が事件に巻き込まれた工商銀行に到着した。

現場にはすでに数人の警察官が来ており、母に当時の状況を尋ねていた。

私は警察に対してあまり大きな期待を持っていなかったが、今回の出動の速さには少し感心した。事件が起きたばかりで、私がまだ到着していないうちに、近くの派出所の警官がすでに来ていたのだから、職務に忠実と言えるだろう。

「状況は把握しました」

警官は手帳を閉じ、真面目な顔で母に言った。「ただし、犯行現場は銀行の監視カメラの範囲外で...

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