章 71

「八時まで、あと二分。」

しばらくすると、川の中心から巨大な花火が上がり、真っすぐ空へ向かって開いた。色とりどりの光が暗闇の隅々まで照らし、言葉にできないほど美しい光景に、賀宜年は急いでスマホを取り出した。

スマホを傅白と花火の間で行ったり来たりさせながら、画面を見つめていると、突然カメラが遮られ、頭上から傅白の声が聞こえた。「賀宜年、目で見るんだ。スマホじゃなくて」

明滅する花火の光の中、傅白の彫刻のような輪郭が浮かんでは消える。賀宜年は柔らかく微笑み、甘えるように言った。「でもすごく綺麗だよ。撮っておかないと、後で見られなくなっちゃう」

「大丈夫だ」と傅白は言った。「来年、また一緒に来よう...

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