章 77

「わかった」と賀宜年は言った。「僕はあなたじゃなきゃダメってわけじゃない。ただのAlphaでしかないから」

傅白の表情が僅かに曇り、賀宜年を抱く腕はどんどん強く締め付けていた。二人はずっと見つめ合ったまま、まるで勝負でもしているかのように、どちらも引き下がろうとしなかった。

結局、傅白が折れた。何度か深呼吸して苛立ちを抑え、賀宜年の唇に軽くキスをして、優しい声で言った。「随分と気前がいいんだな」

「彼は僕の親友だよ、傅白」賀宜年は鼻の奥がつんとして言った。「こんな展開、自分の身に起こるなんて思ってもみなかった」

「賀宜年、それは俺を拒む理由にはならない」傅白は彼の鼻先をそっと擦り寄せた...

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