章 53

「これでもいいだろう」陳豫はそう思った。

彼はもうそれほど受け入れがたくはなくなっていた。心の中で自分を責めることも少なくなっていた。

これでいいのか?彼は弟を自ら誤った道に導いているのではないか?弟の明るい未来を自らの手で台無しにしているのではないか?彼の行動は自分勝手ではないのか?兄として弟がさらに間違いを重ねるのを止めるべきではないのか?本当に自分の欲望のために弟をこの道連れにするのか?

陳豫はそう自問自答していた。

でも、幸せなのだ。陳焔が彼を抱きしめキスをする時、その唇と舌は彼が幼い頃から憧れながらも手に入れられなかった綿菓子のように柔らかく、キスをしながら「お兄さん」と呼び、強く抱...

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