章 169

墨無痕は唐浅の軽い溜息を聞き、幸いにも彼を苛立たせる君臣の区別などという言葉は口にされなかった。

花の海のような夜景の中の唐浅は、普段の表面上は謙虚でありながら実際には何も気にかけていない長寧侯の姿とは違い、親しみやすい慵懶さが増し、警戒心が薄れていた。

「ただ、あなたにどう向き合えばいいのか、まだ決めかねているだけよ」彼女は言った。「私たちは、単なる君臣でもなければ、思いのままに心を晒せる恋人でもない。少しでも間違えれば、二人とも万劫不復よ。もしあなたが求めるのが絶対的な服従なら、私はあなたの臣下として忠義を尽くすことはできる。でも、自ら膝を屈めてあなたの機嫌を取ることはできない。もしあ...

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