章 62

唐浅はその声を覚えていた。十一歳の少年の、清らかで明るい声。たとえ少年が親族を失った後、長い間沈黙を貫いていたとしても。

「申し訳ございません、侯爵様。この子が今日ずっと門の前で粘着しておりまして。卑しい身分の私どもとしては、子供だからといって乱暴もできず、侯爵様のお邪魔をしてしまいました」守衛は再び燕図を縛りながらそう言った。

唐浅は振り返り、「彼を解放しなさい」

「侯爵様?」守衛は聞き間違えたかと思った。

「主からもう一度言わせるつもりか?」楚陳が傍らで言った。

「かしこまりました、侯爵様」守衛は従い、燕図を解放し、縄を解いた。

唐浅は燕図を府内の部屋に連れて行った。元々長宁侯...

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