章 1109

「あの運転手の遺体は、手袋をはめた誰かに抱えられて、最後にはビニール袋に収められたんです」

「私の両親は即死でした。警察が長い間捜していましたが、父の片腕が見つからなくて。みんなが随分探した後、結局私が見つけたんです。道端の排水溝のところで。しゃがみ込んで、父の腕を拾い上げて、ぼんやり見つめていました。ふふ、今でもあの時の光景が目に焼き付いています」

「最終的な調査結果が出ました。飲酒運転で人を死亡させた疑いのあるドライバーは、事業に失敗して破産した社長だったんです。その晩、酒で憂さを晴らしていて、それからあんなことが起きてしまった。私は一銭も賠償金をもらえませんでした。それに、親戚たちも...

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