章 582

「そして彼がその若者の太ももに向かって発砲した後、誰もその銃の本物かどうかを疑わなくなった。この瞬間、私はやっと理解した。江峰がなぜ一人で私を連れて旭兄さんに会いに来る勇気があったのか——それはすべて、彼の揺るぎない自信からきていたのだ」

一人の男、一丁の銃。それだけですべての人間を震え上がらせた。

私は喉の奥で唾を飲み込むのに苦労しながら、江峰から目を離さなかった。

彼の口元には、さっきからずっと同じ笑みが浮かんでいた。旭兄さんの額からは冷や汗が吹き出し、ソファに座ったまま身動きひとつできず、体が少し震えていた。銃を頭に突きつけられて、こんな状況で冗談を言い合える人間などいない。

江...

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