章 616

「そこまで聞いて、胸に溜まっていた息をゆっくりと吐き出して、すぐに冷静さを取り戻した。携帯を取り出して旭兄に電話をかけた」

「剛、どうした?」

「僕は本題に入って尋ねた。『信頼できる奴を何人か連れてバーで待ってくれ。道具も持ってきて、目出し帽とかも全部用意しておいてくれ』こう言うと、旭兄の声も緊張感を帯びてきた」

「剛、何をするつもりだ?」

僕は少し微笑んだ。「網を張るんだ」

適当に身支度を整えて、帽子をかぶってホテルのフロントに向かった。笑顔でルームキーを差し出して「チェックアウトします」

バーに戻ると、中には七、八人の大柄な男たちが立っていて、旭兄がタバコをくわえながら彼らの前に立って...

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