章 617

「メルセデスが加速した時、私も焦りだして、額から冷や汗が噴き出した。思い切ってハンドルを切り、そのメルセデスに体当たりした。ガシャンという音とともに、車が激しく揺れた。旭兄が罵声を上げた。『くそっ、小剛、お前命知らずか』」

「歯を食いしばって怒鳴り返した。『黙れ、みんなしっかり掴まれ』」

「そしてギアを思い切り入れ替え、アクセルをガソリンタンクまで踏み込みたいほど踏み込んだ。再びそのメルセデスに体当たりした。ガシャン、ガシャンと続けて二度の衝撃音。メルセデスはバランスを崩し、路肩の植え込みに向かって突っ込んでいった。道路標識をいくつも壊しながら進み、最後には街灯に激しく衝突した」

「その...

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