章 640

「親に対する罪悪感でいっぱいで、現実から逃げ出し、自分が引き起こした状況を見に帰る勇気もなかった」

「村中の家々はすべてコンクリートの家に建て替えられたのに、うちだけがまだ古い土台の家に住んでいた。家の中で唯一誇れるものと言えば一台のブラウン管カラーテレビだけ。貧しい暮らしが、僕に深い劣等感を植え付けた。心の闇はこの頃から芽生え始めたんだ」

貧乏なまま一生を終わらせたくない。

「塩漬けの魚がひっくり返っても、所詮は塩漬けの魚だ。だが、それでも一番塩辛い魚になってやる」

「気持ちが随分と軽くなって、白楽にタバコを一本渡し、自分も一本火をつけ、アクセルを踏み込んでバーに向かった」

「二十...

ログインして続きを読む