章 853

「そうじゃなかったら、今昏睡している人は、お前だったんだぞ」

「簡単に言えば、彼はお前の命と引き換えに自分の命を差し出そうとしたんだ。運が良かったから、その場で死ななかっただけで、病院に運ばれた時には、もう息も絶え絶えだった。重度の脳震盪に、肋骨が七本折れて、内出血もあった。あの晩はもう危篤状態になりかけて、手術室に運ばれる時はまだ意識があったんだ」

「彼はお前に伝えてくれって言ってた。もし持ちこたえられなかったら、お前に借りがあった一回分は帳消しだって」

「でもまぁ今は命の危険は脱したよ。ただまだ意識は戻っていなくて、今も集中治療室で監視されているところだ」

話し終えると、旭兄は手を...

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