章 30
「こんな時に入ってくる奴なんていない」
大物は入口に立っている人物を見て取ると、心の中で思った:「忘れていたが、もう一人いたな」
部下は彼が手にした銃など全く恐れる様子もなく、近づいてきて、浴槽の縁に膝をつき、顔を大物の鎖骨に寄せて舐めようとした。
大物は銃を彼の顎に押し当て、軽く横へ押しやった。「確か、お前はさっき食卓で、もう満腹だったはずだが」
部下は彼の言葉など全く聞く耳を持たなかった。ただあまりにも香りが良すぎると感じ、頬に当てられた銃の冷たさが心地よかった。
彼は夢中になって頬で冷たい銃身を擦り、さらに舌で金属をなぞるように舐めた。
その動きを見て、大物の表情が微かに変わった。
大物...
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