章 82

白雲と事務所で仕事を終えると、私は宿舎に戻り、藍月が使っていたパソコンで文章を書き始めた。ジャーナリズムに関する研究論文を、自分の経験や体感から出発し、取材中の気づきや見解をまとめていく。書き終えたら、USBメモリにコピーして事務所でプリントアウトし、専門誌に投稿するつもりだ。

昇進審査には論文が必要だということを私は理解している。各レベルの専門誌に掲載された論文は、職階評定において非常に重要な役割を果たすのだ。

静かな春の夜、私は藍月が使っていたキーボードを叩きながら、彼女が何度も見つめていたであろう画面を注視していた。外は春の寒さが厳しいが、部屋の中、私の心はほんのりと暖かい。

こん...

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