章 690

私たちはお互いがいなければ生きていけないこと、そして愛の本当の意味を、その甘さも苦さも含めて、より深く理解したのかもしれない。

妻は早く家に入りたくて、車から降りるとすぐに私の手を引いて小走りに進んだ。

私がどう変わろうと、世界がどう変わろうと、彼女はいつまでも変わらないようだ。いつまでも私を愛してくれる賢い妻のままで。

先日の夢潔の一件以来、家のことに時間も気持ちも向ける余裕がなかった。

散らかり果てて、もう元の姿を留めていない家を見ても、彼女は少しも文句を言わず、入るなり嬉々として片付け始めた。

彼女にとっては、これが本来自分の仕事であり、自分がいなかったからこうなってしまったの...

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