章 1623

テレビの画面はまだ流れていた。

男は女を言い負かしたと思い、下卑た笑みを浮かべて言った。「ほら見ろよ、お前の反応すごいじゃないか。シーツまでびしょ濡れにしちまって。俺は本気でお前のこと気に入ったんだ。俺の提案、考えてみろよ。うまいもの何でも食わせてやるぜ」

女は画面をちらりと見た。この男はなかなかやるじゃないか。でも自分には全く記憶がない。

「あなたはすごい人間だって言うの?」

「当たり前だろ。今からまたやってみるか?」

「違うわ。あなたが権力や地位のある人間かって聞いてるの」

「ハハハ、教えてやるよ。俺の親父はこの県の安全監督局長だ。そして俺は、実業家で金の切れ目も無いし、裏の世界の人間で...

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