第273章善と悪は報われる

その光景に、通りすがりの人々が次第に足を止めた。彼らだと気づいて驚きに口を覆う者もいれば、スマートフォンを掲げて写真を撮り始める者もいた。

セシリアの顔がさっと赤くなった。彼女は口を開いたが、何を言えばいいのか分からなかった。

隣に立っていたキャロラインがクスクスと笑い、肘で彼女を軽くつついた。「何をためらってるの?『はい』って言うのよ!」

「アラリックにちゃんとした肩書をあげたくないのか?」キアンもからかうように言った。

セシリアは深呼吸を一つすると、ふっと微笑んだ。彼女は花束を受け取ろうと手を伸ばし、そっと言った。「……はい」

アラリックは立ち上がると、彼女を腕の中に引き寄せた。...

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