第276話彼女を過小評価

セシリアが手紙を読み終えると、その指から手紙が滑り落ちた。無言の涙が頬を伝い、テーブルの上にぽたりと落ちる。

母であるアーサは、彼女なりの慎重なやり方で、ずっと自分を守ってくれていたのだ。

その様子を見て、アラリックは優しく彼女の背中をさすり、そっと涙を拭った。

セシリアは鼻をすすると、なんとか小さく微笑んだ。「ごめんなさい、続けましょう」

そう言って、彼女は赤い絹に包まれた品物を手に取り、慎重にその包みを開いた。

絹の上には、金色の鳳凰のかんざしが静かに置かれており、その精巧なデザインが光を受けてきらめいていた。

鳳凰は今にも飛び立ちそうな姿で、繊細な羽模様が彫り込まれ、目にはめ込まれたルビ...

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