第114章 愛しの彰さんに罵られた

 古屋莉々は告げ口を終えると、藤堂彰の顔を見上げた。相手の不機嫌な顔を予想して。

 残念ながら、彼女は失望させられた。藤堂社長は相変わらず無表情なままだった。

 それどころか……。

 どうしてさっきよりも顔が晴れやかに見えるのだろう?

 やはり、藤堂彰が嬉しい時に笑い、悲しい時に顔を曇らせる十五年前の『太陽の少年』に戻るのは、小林穂乃香の前だけなのだ。

 他人に対しては、その平静な顔の下にある喜怒哀楽を誰にも読み取らせない。長年そばにいた古屋莉々でさえ、見抜くことはできなかった。

 でなければ、彼女は気づいただろう。とある人物が、天を仰いで大笑いしたいくらい喜んでいることに。

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