第248章 また嫌われる一日

古屋は、藤堂社長に高嶺の花のような本妻がいることをはっきりと知っていた。

毎年、藤堂社長が会社を不在にする日は、その高嶺の花である亡き妻を偲ぶための日だったのだ。

ある時、藤堂社長が酒に酔い、月にむかって独り言を呟いているのを古屋は聞いてしまった。

藤堂社長は、自分の妻を想っていた。

藤堂社長が今、女性に興味を示さないのは、最愛の人がすでに亡くなっているからだったのだ!

古屋は地位を争おうなどと考えたことはなかった。生きている人間は、死んだ人間には永遠に勝てない。彼女が望んだのは、ただ藤堂社長のそばにいられる資格だけだった。

もし穂乃香こそが藤堂社長の心の中の高嶺の花だと早くに知っ...

ログインして続きを読む