第253章 神秘な小林様

自身の知る穂乃香に関する情報をすべて相手に伝えた後、梨沙はおずおずと尋ねた。

「これから私は、どうすればよろしいでしょうか?」

 これほど長い年月が経っても、梨沙は未だに相手の名前を知らなかった。

 かつて尋ねたことがあったが、相手は「私が誰であるかを知る必要はない。ただ、私の言う通りにすれば、あなたが欲しいものはすべて手に入る。それだけ分かっていればいい」と答えただけだった。

 今に至るまで、蝶子も梨沙も相手のことをただ「あなた様」と呼び、内々では「あの方」と呼んでいた。

 電話の向こうで何か言われたのだろう、梨沙の目から先程までの狼狽と不安が消え、明らかに心に算段がついた様子だった。

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