第279章 ママだ!

藤堂グループの清掃はかなり専門的で、エレベーターのドアは鏡のように磨き上げられ、姿がはっきりと映り込むほどだった。

後ろに立つ望は、蓮の表情を見ることができたし、蓮もまた反射を通して望が自分を見ていることに気づくことができた。

しばしの沈黙。蓮に話しかける気配はない。

望が再び口を開いて問い詰めようとしたとき、エレベーターは十六階に到着し、蓮は出て行った。

一度も振り返ることなく。

「無視された?! 俺を無視したっていうの?!」望は悔しさのあまり地団駄を踏んだ。

朔は以前、エレベーターの中で足踏み運動をしていたおばさんのせいでエレベーターが急降下したというニュースを思い出し、慌てて...

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