第294章

「藤堂さん、お久しぶりです」

 若い男が朔の前に歩み寄り、にこやかに挨拶した。

 望は男を値踏みするように見つめ、不機嫌そうに眉をひそめる。

 月白色のシャツはボタンが二つ外され、広い鎖骨が覗いている。長く黒い睫毛に、すっと通った鼻筋。日本人の顔立ちでありながら、瞳にはどこか淡い緑が差していた。

 カラーコンタクトか、それともハーフか。

 その精緻な顔立ちは、ハンサムというよりは綺麗と言った方がしっくりくる。

 そう、これは綺麗な顔立ちの男だった。

 なぜ望が不機嫌なのかと言えば、相手がこちらへ来た時、その視線はまっすぐに朔に向けられていたからだ。一見穏やかに見えるが、その瞳の奥...

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