第30章 敵情!それは恋敵!

片桐家へ乗り込んだのは、ひとえに因縁をつけるため。自分がいる限り、片桐静が二度と藤堂家をいいように利用することなどさせはしない!

今日を境に、今後いかなる状況であろうと、片桐家が藤堂家と当然のように一括りにされることはなくなり、関係はきっぱりと断ち切られるのだ!

片桐家へ行ったという知らせが広まるのは、小林穂乃香の想定内だった。唯一の想定外は、片桐静がまさか癇癪を起こして卒倒したことくらいだろうか。

片桐家の使用人たちは、およそ口が堅いとは言えない。でなければ、以前どうして「藤堂朔は片桐静にたいそう懐いている」だの、「片桐静は藤堂朔をとても可愛がっている」だのといった噂が、あれほど多く流...

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