第305章 穂乃香の説明

 朔と望が眉をひそめて考え込んでいる様子から、話が心に響いているのは明らかだった。

 穂乃香は少しばかり為す術もないような気持ちに陥る。現実とはこういうものだ。時として、嘘は真実よりもずっと信じられやすい。

「誰が好き好んで、意識不明の人を十数年も面倒見るっていうの?」

 望が疑問を口にした。

「この世には善人がたくさんいるのよ」

 穂乃香は考えるまでもなく答えた。一度ついてしまった嘘なのだから、他の答えがどれだけ突拍子もないものであっても大した違いはない。

 肝心なのは、この理由を朔と望が明らかに受け入れたことだ。

 二人の子供が頷くのを見て、穂乃香は思わず額に手を当てた。双子はとてつもなく...

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