第317章 説明してあげる

——お嬢様が、いなくなりました!

先ほどの会話の途中、穂乃香は使用人に、朔へ切り分けた果物を持っていくよう言いつけた。ついでに彼女の様子も見てくるようにと。

本当は自分で行きたかったが、帰宅した時の娘の避けるような態度を思い出し、もう少し彼女に一人の時間を与えようと考えたのだ。

階上へ上がった使用人は何度かドアをノックしたが、中からは何の反応もない。最後に少し力を込めてノックすると、半開きだったドアが押し開かれた。

部屋の中には誰もいなかった。こんなに寒い日だというのに窓が大きく開け放たれ、カーテンが風に煽られてバタバタと音を立てている。

朔がいない!

藤堂邸のセキュリティは万全だ...

ログインして続きを読む