第318章 朔は怖がる

「いない? 朔がいないですって!」

穂乃香の瞳に涙が浮かび、狼狽した様子で娘の姿を求めてあたりを見回した。

そこは地面が踏み固められ滑らかになっただけの未舗装路で、周囲の両側には街灯すらない。背の高いポプラの並木が一列に並び、その上の黒い影は鷹が作った巣だった。

もし車のヘッドライトが点いていなければ、あたりは一面の闇に包まれてしまうだろう。

遠くの国道から漏れる街灯の光は弱々しく、星のように点々と見えるだけだ。一里も離れているここは、まるで別世界の暗闇のようだった。

ジープはぽつんと、道の真ん中に停まっていた。

ここへ来る途中、穂乃香はこの道が行き止まりであることを知っていた。前...

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