第321章 雲くん

「止めて! この車だ!」

 オフィスに鋭い声が響き渡った。

 望は弾かれたように立ち上がると、パソコンのモニターを食い入るように見つめ、助手席に映る銀色のジャケットを着た朔を指さした。

「見つけた!」

 道路の監視カメラの映像を解析したところ、ミニバンの進行方向は間違いなく太田村の交差点を示していた。

 朔がヒッチハイクで目的地へ向かっていると分かり、兄弟が胸を撫でおろしたのも束の間——警察からの報告がその場の空気を凍りつかせた。

「所有者情報と車両が一致しません。ナンバーは偽造されたものです」

 蓮と望に迷う時間はなかった。直ちに車を太田村へと走らせつつ、彰に状況を報告する。

 太田...

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