第36章 父の愛は山のように…崩れて地裂れる

——彼女がお金を持っていないと知った時からだ。

翌日、桜井の母は彼女の家庭状況を探り始めた。藤堂朔にも多少の警戒心はあったが、十分ではなかった。

自分が藤堂グループの令嬢であることは言わず、ただ自分の境遇を語った。

父に新しい恋人ができて、娘の自分は相手にされていないこと、家と仲違いしたこと……藤堂朔は主に自分の不満を語り、家の情報はほとんど明かさなかった。

学校側では校長を除き、他の者たちは藤堂朔が裕福な家の出だと知っているだけで、藤堂朔自身は学校で家のことを一切口にせず、毎年の保護者会には執事が来ていた……。

桜井の母の方も、息子から藤堂朔が金持ちの令嬢だと聞かされただけで、それ...

ログインして続きを読む