第429章 比べなければ傷つかない

「朔ってホント冷血ね! 桜井とは同級生だったのに、あんな酷いことするなんて……」

 恵は桜井のために義憤に駆られているわけではない。ただ桜井の一件をダシにして、朔を罵りたいだけなのだ。

 隣の黛が何か言いたげに口を開閉させていたことに、恵は気づかなかった。しかし、彼女の言葉が次第にエスカレートしていくのを聞きかねて、黛は咳払いを一つするとこう言った。

「もういいわ」

「あんな陰湿なことして、バチが当たるのが怖くないのかしら! ああいう人間はね、絶対ろくな最期を迎えないわよ。彼女なんて」

「いい加減にして!」

 罵倒に熱が入りすぎていた恵には、最初の一言が聞こえていなかったようだ。怒気...

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