第67章 ママ!パパが私を叱った!

藤堂彰に電話に出る気分などなかった。画面をスライドさせて通話を切ろうとしたが、一度目は反応しない。二度目を押そうとしたとき、小林穂乃香に止められた。

「出て」

無表情で、短く力強い、拒否を許さない口調だった。

藤堂彰は一瞬驚き、眉を寄せながら小さく「わかった」と答えた。

彼はそのままスピーカーフォンをオンにした。

「藤堂社長、私です、吉野佳芳です。新しい番号なので、出てくださらないかと心配してました、ははっ」

受話器の向こうの女性の声は甘く、楽しげに笑っている。その態度は親密さを感じさせた。

藤堂朔と藤堂望はすぐに耳をそばだてた。佳芳さん?! 藤堂蓮が言っていたあの人?!

「何...

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