第80章 面倒を起こす

父親の怒りの視線を浴びても、藤堂蓮の良心は少しも痛まなかった。

母親がいくつもの会社名を挙げ、どれに興味があるかと尋ねるのを聞きながら、藤堂蓮は言った。

「母さん、俺はやっぱり父さんの会社がいい」

藤堂グループにいなければ、どうやって父さんの一挙手一投足を観察して、逐一母さんに報告できるというのか?

小林穂乃香は愛おしそうに息子の頭を撫でた。藤堂彰という父親はわがままなのに、蓮はずっと物分かりがいい。

この子は、自分たちが喧嘩するのを心配しているのだろう。

しかし、いずれにせよ息子はやはり自分の会社にいる方がいい。藤堂彰というあの朴念仁については、今夜にでもしっかりと言い...

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