第4章
いつの間にか、空は深い黒から濃紺へと移り変わっていた。何時間も経ったことはわかったが、俺にとって時間はもはや何の意味もなさなくなっていた。
夜明け前の最も暗い時間、俺のツイッターの通知が再び爆発した。
突破口が開かれたのは、レディットの「真実探求」板だった。@謎解き人による投稿が、俺の血の気を引かせた。
「見つけた! 玲子サントスは、やはり和みリカバリーセンターの音楽療法士だった。彼女は心理的外傷、特に幼少期のトラウマやうつ病を抱える患者を専門に治療していた。これがセンターの公式サイトからのスクリーンショットだ」
その下に続くコメントが、俺の心臓をまっすぐに貫いた。
「誰かリカバリーセンターに連絡できないか? もっと詳しく知る必要がある!」
「彼女のリンクトインを見つけた! 音楽療法の修士号を持っていて、幼少期のトラウマを抱える大人の支援を専門にしている」
「待て、山崎隆司の公的記録によれば、彼は児童養護施設で育っている。これは絶対に偶然じゃない!」
記憶が津波のように押し寄せてきた。玲子が初めて俺に会った時に言った言葉を思い出す。「無理して強く見せなくてもいいのよ、隆司。ここでは、ありのままのあなたでいていいんだから」
「違う……あいつは嘘つきだ……俺を捨てたんだ……」俺はそう呟いたが、その声はどんどん弱々しくなり、説得力を失っていった。
俺は、せめてもの抵抗とばかりに、ぎゅっと目を閉じた。両手で頭を抱え込み、この世界から自分を切り離すように、深く深く、意識の底へと沈み込もうとする。次に目を開けたときには、すべてが、ただの悪夢であってほしい、その願いだけが、か細い希望の光のように、俺の胸に揺らめいていた。
だが、現実は、いつだって人のささやかな願いを嘲笑うかのように、無慈悲だ。まぶたの裏で、不意に光が明滅する。恐る恐る目を開けると、そこには、再び光を放つスマホの画面があった。それは、更なる、そして決定的な真実を、俺の覚悟も虚しく、冷酷に突きつけてきた。
ほどなくして、和みリカバリーセンターが公式声明を発表した。
「当センターは、玲子氏の逝去に際し、深い哀悼の意を表します。彼女は数え切れないほどの患者様を救った、素晴らしい音楽療法士でした。最近のインターネット上での議論につきましては、適切な時期に正式な声明を発表させていただきます」
俺はこの声明を、心臓を激しく鳴らしながら見つめた。なぜ俺の告発を直接否定しない? なぜ「適切な時期」などと言う? この含みのある言い方が、俺をさらに不安にさせた。
高橋先生に電話をかけたが、彼女は応答を拒否した。
「くそっ!」俺は、喉の奥から絞り出すような悪態をついた。震える指で、十数回、無意味なダイヤルを繰り返す。だが、受話器の向こうから返ってくるのは、ただ虚しく、耳障りな「ツーッ、ツーッ」という話し中の電子音ばかり。
それはまるで、俺の必死な叫びを嘲笑うかのように響き渡り、この世界における俺の完全な孤立を、冷酷に宣言しているかのようだった。
今までに感じたことのない、底知れない絶望感が、俺の全身を容赦なく蝕んでいく。まるで、この広大な世界のすべてが、一斉に牙を剥き、俺一人を標的にしているかのような、途方もない孤独と恐怖が、心を支配した。
俺が絶望に沈みかけたその時、スマホの画面が再び通知で埋め尽くされた。
さらなるビデオクリップが流出していた。
玲子の二十五歳、二十八歳、三十二歳の誕生日のビデオをまとめたものだった。そのどれもが、彼女の容態が悪化していく軌跡を示していた。
健康的な顔から帽子をかぶるようになり、普通の声から弱々しい囁き声へ、澄んだ瞳から苦痛に曇った混乱の眼差しへ。
そして何より残酷なことに、どのビデオでも、ハチの容態がそれに同調するように悪化していた。
@メロディ中毒による専門的な分析が、俺を打ちのめしかけた。「あの犬を見てください! 彼も病気です! 被毛の変化、元気のなさ――これは普通の老化ではありません。特定の状況下では、癌は人間とペットの両方に影響を及ぼすことがあります」
ネットユーザーからのコメントが、雨のように俺に降り注いだ。
「犬でさえ、彼女と一緒に病気になることを選んだっていうのに? それで隆司は『捨てられた』だと?」
「この男に心はないのか?」
「ハチは病気の飼い主のそばにいて、付き添うことを選んだ。それこそが真の忠誠心だ!」
ハチ……その名前は鍵のように、俺の心の奥底にある最も深い痛みを解き放った。この混乱の中で、かつて俺に喜びをもたらしてくれたあの小さな犬のことを、ほとんど忘れていた。ネットユーザーたちはその忠誠心を称賛しているのに、俺は……俺はあいつに何をした?
その瞬間、俺の記憶の堰が、音を立てて決壊した。濁流のように押し寄せる過去の断片の中で、最も鮮烈に蘇ったのは、ハチが最後に俺を見た、あの日の光景だった。
あの日、俺は玲子に会うため、リカバリーセンターの重いドアを開けた。ハチは、いつものように喜び勇んで駆け寄ってくることはなかった。代わりに、ドアの傍らに、まるで置き去りにされたかのように、静かに座り込んでいた。
その琥珀色の瞳は、当時の俺には理解できない、深い悲しみを湛えていた。潤んだ瞳の奥には、今にも零れ落ちそうな涙が浮かび、そこには、俺との別れを惜しむ、切ない感情と――紛れもない、決別の色が、はっきりと宿っていたのだ。
今ならわかる……あれは別れを告げていたのだ。
ハチは玲子が病気であることを知り、残された時間が少ないことを悟り、彼女の最期の瞬間に付き添うために残ることを選んだのだ。
そして俺は……俺は、あいつに捨てられたと思っていた。
この戦慄すべき気づきは、まるで巨大な大槌で打ち砕かれるかのように、俺の心に残された最後の防御壁を、音を立てて粉々にした。真実は、あまりにも残酷で、それでいて、あまりにも単純だった。
俺は、裏切りではなく、ただひたすらに愛と忠誠を選んだ、純粋無垢な生き物を、無慈悲にも責め立てていたのだ。その事実に、羞恥心が津波のように押し寄せ、俺はたまらず両手で顔を覆った。
どうしてあんなふうに考えられたんだ? 愛を選んだ生き物に、自分の痛みを投影するなんてことが、どうしてできたんだ?
深い自己嫌悪に溺れていると、スマホの振動が俺の思考を中断させた。
PRチームからの緊急メッセージだった。
「梨乃がインスタライブを開始し、真相を解明しようとしました。緊急で信号を遮断しましたが、メディアがこの動きを嗅ぎつけています。今朝、リカバリーセンターに記者が殺到する見込みです。隆司さん、さらに大きなメディアの嵐に備える必要があります」
俺はソファに崩れ落ち、頭を抱えた。恐怖が氷水のように体中を駆け巡った。
梨乃が明らかにしようとしていた真実とは、いったい何なんだ? 俺が知らない何を、彼女は知っているというんだ? 俺が必死に葬り去りたいと願っていたあの秘密も、彼女は知っていたのだろうか?
これから未来、毎年時間通りに公開されるのを待っている誕生日ビデオが、まだ二十五本も残っている。
そしてその一本一本が、より深い真実への鍵となりうるのだ。
空が白み始め、朝の光がカーテンの隙間から部屋に差し込んでくる。
だが、本当の暗闇はこれから始まると、俺は悟っていた。
なぜなら、もし玲子が本当に癌で死んだのだとしたら……。
白桜音楽賞で俺が口にした言葉のすべては、亡き天使への冒涜だったということになる。
そして全世界が……それを目撃してしまったのだ。
