第102章 私が引き継ぐ

瀬尾正樹がオフィスで突然倒れ、そのままICUへ運び込まれた。懸命な処置が続いているが、いまも意識は戻っていない。

その知らせは瞬く間に広がり、「瀬尾会長が昏睡」という噂が上流のビジネス界隈を騒がせた。

救急救命室の扉の前で、瀬尾杏奈と瀬尾晴海は落ち着かないまま立ち尽くしていた。晴海は涙で頬を濡らし、杏奈の手をぎゅっと握りしめる。声は震えていた。

「あなたのお父さん、もともと体が強いほうじゃないのに……今回は、いきなり倒れるなんて……」

杏奈の胸は罪悪感で締めつけられる。自分が入院して療養していたせいで、父は無理を重ね、過労で倒れたのではないか――そんな思いが消えなかった。

救急救命...

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