第12章 瀬尾杏奈からの反撃

その平手が頬に入っていたら、瀬尾杏奈の顔はきっと腫れ上がっていた。

だが、瀬尾杏奈の身のこなしは速かった。さっと半身を引き、紙一重でかわす。

「瀬尾杏奈……避ける気か!」

古谷晏一は目を吊り上げ、今にも噛みつきそうな形相で睨みつけた。

――何様のつもりだろう。

瀬尾杏奈は理解できなかった。どうしてこの男は、殴る側の正しさみたいな顔ができるのか。

「避けて何が悪いの? 古谷晏一、答えて。なんで私があなたの平手を受けなきゃいけないの? 私が何をしたっていうの。どうして私に手を上げるの!」

赤く滲んだ目。けれど涙は落ちない。冷え切った視線だけが、刃みたいに鋭かった。

「三年よ。私は...

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