第124章 間違えたのは彼ではない

言いかけて飲み込んだ、その曖昧さがかえって想像を掻き立てる。

瀬尾杏奈は息を詰め、陸川佑莉を見る目に冷たさが混じった。

「言いたいことがあるなら、はっきり言えば? もったいぶらないで」

陸川佑莉は勝ち誇ったみたいに笑い、スプーンでカップのコーヒーをくるくるとかき混ぜる。名残惜しそうな顔で、ねっとりと言った。

「私が純平の部屋に入ったら、彼が電気を消して……抱きしめて、キスしてきたの。お酒の匂いがすごくて。私、抵抗しなかった。むしろ……合わせてあげた。わかる?」

ふいに陸川佑莉が言葉を切り、少女みたいな照れを浮かべる。

「夜が明けるまで、何回求められたかわからない。あのとき初めて知...

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