第128章 犯人は彼ではない

瀬尾杏奈が顔を上げると、そこに立っていたのは浅川有香だった。

「……なんで、あなたが」

浅川有香もまた杏奈を見た瞬間、わずかに目を見開く。

まさか瀬尾杏奈が、長井春芳の家にまで追ってくるとは思っていなかったのだろう。

杏奈は無駄口を叩く気はなく、そのまま脇をすり抜けようとした。だが浅川有香がすっと前に出て、行く手を塞ぐ。口元には、挑発するような笑み。

「瀬尾さん。ここまで来て長井おばあちゃんに耳障りのいいことを言えば、味方してもらえるって思ってるの?」

瀬尾杏奈は取り合わない。

浅川有香は上品に笑ったまま、どこか勝ち誇った声音で続ける。

「私、帰ってからずっと長井おばあちゃん...

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