第139章 野心満々

彼女は無垢そのものに見えた。まるで、悪意なんて一片も持っていないみたいに。

北島秘書の顔に、ほんの一瞬だけ不自然さが走る。

「杏奈さん、北島さんのスマホ、機種が古いので……使いづらいかもしれません」

瀬尾杏奈はにこにこしながら言った。

「大丈夫。自分のスマホ、どこに置いたか分からなくて。ちょっと北島さんの、借りたいだけなの」

北島秘書はそれ以上ためらわず、スマホを差し出した。

確かに古い機種だ。それでも瀬尾杏奈は手際よく操作し、画面に自分の番号を打ち込む。

ほどなくして、オフィスのどこかから着信音が鳴り出した。

瀬尾杏奈はソファの背後を覗き込み、そこに落ちていた自分のスマホを...

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