第140章 見抜いた

瀬尾杏奈が差し出したのは、写真の束だった。

そこには、浅川有香が都市計画局に姿を現し、ある中年の男と親しげに話し込んでいる様子が写っている。

そして、その男が誰かを長井春芳は知っていた。――かつて自分が目をかけ、弟子同然に育てた職員、毛利彬。

「おばあちゃん、どうしてこの二人の写真を撮ったのか、不思議でしょうね」

瀬尾杏奈は急かすでもなく、淡々と言葉を続けた。

「浅川有香さんから聞いてますよね。会社で進めてる案件が一つ、引っかかって通らないって。彼女が話したのは『社内の人間に圧をかけられている』っていう筋書きだったはず。でも本当は違います」

瀬尾杏奈の視線が、写真から長井春芳へ移...

ログインして続きを読む