第20章 家に帰るべきだ

陸川純平は、そんな強がっていてどこか愛らしい彼女の様子を見つめ、とうとうそれ以上は何も言わなかった。目元の笑みだけが、いっそうやわらかく深まっていく。

やがて陸川純平は手を伸ばし、怪我をしていない右手で、粥の器を支える瀬尾杏奈の手をそっと包んだ。

「病室に戻ろう」

瀬尾杏奈はまだ状況を飲み込めないまま、気づけばその手に引かれていた。大きくて、あたたかい掌。包まれただけで、不思議と心が落ち着く。

つないだ手を見下ろした彼女の頬に、ふわりと薄紅が差す。けれど口元は、隠しようもなくゆるんでいた。

二人は肩を並べて病室へ戻った。

陸川純平は傷に障らないよう慎重にベッドへ腰を下ろす。その様...

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