第31章 氷の心が溶ける

古谷晏一は、信じられないという顔をした。

瀬尾杏奈は、どうせこいつにそんな度胸はないとわかっている。いちいち言い合う気にもなれず、さっさとスマホを取り出して警備員へ連絡を入れた。駆けつけるのも早い。

杏奈は古谷を指さし、容赦なく言い放つ。

「こいつをつまみ出して。今後、瀬尾家には一歩も近づけないで。もしまた姿を見たら、即通報する」

次の瞬間、警備隊長が古谷晏一の腕を掴み、そのまま引きずるように連れていった。

「杏奈! こんなことするな! 俺、もう反省してるんだ……!」

古谷がどれだけ喚こうと、杏奈はまるで見えないかのように目もくれない。

古谷晏一はそのまま高級住宅街の外へ、徹底...

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