第38章 蜘蛛の子を散らすように逃げていった

「日向翔に間宮将太を警察署へ連れて行かせて、被害届は出させた。ただ、これが表沙汰になっても、罪をかぶるのはせいぜい間宮将太だ。古谷晏一にまで火の粉は飛ばない」

あのクズ男のやり口を思い出すだけで、瀬尾杏奈は到底飲み込めなかった。

杏奈の瞳の奥に、鋭い光が走る。何かを思いついた瞬間、口元がわずかに持ち上がった。

「古谷晏一の会社、前からちょっと怪しかったの。私、前にあそこに勤めてたんだけど、帳簿はぐちゃぐちゃ。しかもプロジェクトの資金を裏で流用してた。市場を取るために、競合の悪い噂をでっち上げる証拠まで作って、同業を潰しにかかってたわ」

当時の杏奈は古谷晏一に夢中で、ビジネスの競争なん...

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