第52章 水野家の関与

盛重正子はそれを聞くと、口元に淡い笑みを浮かべた。

「君は、私が自分の手で取り上げた子だ。右肩に、薄い赤のあざがある。今でもはっきり覚えているよ……梅の花みたいな形、だろう?」

瀬尾杏奈は反射的に自分の肩へ手を伸ばす。――確かに、院長の言った通りだった。

その痣は、物心ついた頃からずっと、彼女と一緒にあった。

そこまで言われて、瀬尾杏奈の胸の奥に張りつめていたものが、すっと緩む。

沈黙していた陸川純平が、不意に口を開いた。

「盛重院長。当時、瀬尾さんを連れ去ろうとしたのが誰なのか……ご存じですか?」

盛重正子は頷き、踵を返して執務机へ向かう。引き出しを開け、中から古い写真を一枚...

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