第8章 遊び半分でやる

「だったら、あんたが望む通りにしてあげる。叩かなきゃ、かえって気まずいでしょ」

そう言い切るなり、瀬尾杏奈は手を振り上げた。

乾いた音が走る。

パァン――。

平手打ちが、水野心音の頬に容赦なく叩き込まれた。

白い肌に、みるみる五本の指の跡が浮かぶ。

水野心音は頬を押さえたまま、勢いよく顔を上げる。信じられない、という目で瀬尾杏奈を見た。

古谷晏一が、噛みつくように怒鳴る。彼の逆鱗に触れてしまった。まるで猛獣のようだ。

「てめえ、正気か!?」

その眼差しは凶暴で、今にも引き裂きそうだった。

当の瀬尾杏奈は、隣のテーブルからティッシュを一枚取ると、指先を丁寧に拭いた。

まる...

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