第95章 誘拐される

こちらでは大学祭がつつがなく進行していた。とはいえ、内容は退屈で、やたらと長い。

瀬尾杏奈と石原美月は客席で何度もあくびを噛み殺し、ついに美月が我慢しきれなくなって、杏奈の腕を引いてこっそり会場を抜け出した。

「学長が有名な若手実業家を最後に呼ぶって言ってなかった?」杏奈が興味深そうに尋ねる。

美月はひらひらと手を振った。

「若手実業家って言われても、誰だか知らないし。せっかく時間あるんだから、あたしたちで買い物でもして遊ぼうよ」

杏奈の車は創立記念式典会場の周辺に停めてある。一方、美月の車は裏手の仮設駐車場だ。美月は「乗っていきな」と杏奈を自分の車へ促した。

ぷしゅ——

エン...

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