132話

彼は溜息をつき、肩をすくめながら、指先で何冊かの詩集の背表紙をなぞって、一冊をランダムに選ぶ。本を開いて中の詩に目を通し、また溜息をつく。

「これ全部暗記してしまったよ」彼はページをめくりながら言う。「心から詩を暗唱できる男ほど魅力的なものはないだろう。そう思わないか、相棒?」彼は顔を上げてザックに微笑みかけるが、ザックは感心していない。王子について気に入っている唯一のことは、王子が私たちと同じくらいブルーブラッドを嫌っているということだ。彼は何て言ったっけ?「あいつらは王族のまねごとをしているだけだ」。きっと彼も回し車の上のハムスターを見るような面白さを感じているのだろう。

「俺の持って...

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